軽スーパーハイトワゴンの新しい選択肢 ― 商用車化されたスズキ「スペーシアベース」とホンダ「N-VAN」の魅力

2025-08-20 記事

軽スーパーハイトワゴンの新しい選択肢 ― 商用車化されたスズキ「スペーシアベース」とホンダ「N-VAN」の魅力



日本の自動車市場で常に高い人気を誇るのが「軽スーパーハイトワゴン」です。背の高いボディと広い室内空間を特徴とし、ファミリーカーや日常の足として多くのユーザーに支持されています。しかし、ユーザー心理として「人と同じではつまらない」「もっと自由に使えるクルマが欲しい」という思いが生まれるのは自然な流れでしょう。そこで注目されているのが、乗用車をベースに商用車として再設計された「軽スーパーハイトワゴンの商用車モデル」です。その代表格がスズキ「スペーシアベース」とホンダ「N-VAN」です。

商用車化された軽ワゴンを選ぶ意味

両車に共通する大きな特徴は、法律上「軽貨物自動車(4ナンバー)」に分類される点です。乗用車と商用車の違いはどこにあるのでしょうか。最大のポイントは荷室に関する規定です。商用車は「シートをすべて起こした状態で、荷室スペースが後席以降の乗員スペースより広くなければならない」という条件があります。さらに「満載時の積載重量が、乗員の合計重量を上回ること」も求められます。つまり軽商用車は、人を運ぶことよりも荷物を積むことを前提に設計されているというわけです。

そのため、同じベース車から派生したモデルでも荷室の広さや使い勝手が大きく異なり、結果的にユーザーにとって自由度の高い使い方を可能にしています。スズキ「スペーシアベース」は乗用の「スペーシア」、ホンダ「N-VAN」は大人気の「N-BOX」をベースとして開発されているため、それぞれのキャラクターの違いを比べるのも面白いでしょう。

スズキ「スペーシアベース」の魅力 ― マルチボードで広がる使い道

スペーシアベースの大きな特徴は、荷室に「マルチボード」が用意されている点です。このボードをどう使うかによって車内空間の性格がガラリと変わります。

上段に設置すれば、折りたたんだ後席を椅子代わりにでき、ノートPCを置けばそのまま移動オフィスやリモートワークスペースに早変わり。中段に置けば荷物を上下に仕分けして整理でき、下段にすればフラットなスペースが完成し、車中泊仕様として活躍します。

さらにユニークなのが「前後分割モード」です。マルチボードを立てて使うことで荷室を前後に区切ることができ、荷物を整理するだけでなくペット用のスペースとしても利用可能。急な飛び出しを防げるため、愛犬と一緒に安心してドライブを楽しめるのです。

荷室は防汚仕様のラゲッジフロアとなっており、水や泥に強く掃除も簡単。アウトドアや仕事で汚れた道具を積んでもすぐに拭き取れるので、清潔に使えるのも大きなメリットです。アイデア次第で「隠れ家」「移動スタジオ」「簡易キャンピングカー」としても楽しめるのが、スペーシアベースの魅力だと言えるでしょう。

ホンダ「N-VAN」の魅力 ― とにかく広いフルフラット空間

一方、ホンダ「N-VAN」は広大な空間そのものが最大の魅力です。もともと軽商用バン「アクティバン」の後継として誕生した経緯もあり、とにかく「積めること」を徹底的に追求しています。

特徴的なのは「センタータンクレイアウト」と呼ばれる設計です。燃料タンクを前席下に配置することで、後席や助手席を床下に格納する「ダイブダウン」が可能となり、床全体を完全にフラットにできます。これにより、長尺のサーフボードや自転車、大きなキャンプ用品まで余裕で載せられるほか、手足を伸ばした快適な車中泊も実現できます。

また、助手席まで倒して広げられるため、移動店舗や移動オフィス、さらには趣味のアトリエなど、使い方は無限大です。実際に「N-VAN」を活用して移動販売やキッチンカーとして運用している事例も数多く見られ、法人利用から個人の趣味まで幅広く対応できる懐の深さが光ります。

軽商用車ならではの利点とコスト面

両車に共通しているのは「シンプルさ」です。運転席以外はアレンジ前提で作られているため、乗用車のような豪華装備は省かれています。しかしその分価格を抑えられるほか、維持費の安さも魅力です。特に自動車税は、乗用軽自動車が年額10,800円に対し、貨物用の軽は5,000円と大幅に安く設定されています。

また、初回車検が2年、以降も2年ごとと、商用車ならではの基準がありますが、荷室の自由度や税制面のメリットを考えれば、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

まとめ ― 自由度を楽しむカーライフ

スズキ「スペーシアベース」は多彩なマルチボードでアレンジを楽しめるモデル。ホンダ「N-VAN」は圧倒的な広さとフラット空間で自由度を追求したモデル。それぞれ方向性は異なりますが、共通しているのは「荷室の可能性を最大化したクルマ」という点です。

人とは違うカーライフを送りたい、趣味や仕事でクルマをもっと活用したい、そんな人にとって商用車化された軽スーパーハイトワゴンは、ユニークかつ満足度の高い選択肢になるはずです。


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